エメラルドが「宝石の女王」と呼ばれるのはなぜ? 大人も子どもも夢中になる宝石の世界

宝石にまつわるさまざまな“ひみつ”を、わかりやすい解説文と美しい写真で解き明かすビジュアル学習図鑑『宝石のひみつ図鑑』を一部抜粋し、〈宝石の女王・エメラルド〉について学ぶ、前後編をお届けします(この記事は前編)
「宝石の女王」と呼ばれるエメラルド。宝石のカット技術が発達するまでは、ダイヤモンドより価値の高い宝石でした。長い歴史をほこり、6000年以上も前から大切にされています。
クレオパトラの時代、緑色の宝石はすべて「エメラルド」と呼ばれていました。エジプトにはむかしエメラルドの鉱山があったので、女王のコレクションのなかにも、この鉱山のエメラルドが含まれていたかもしれません。
エメラルドは、ほかの宝石と比べて「インクルージョン」(※)が多いという特徴があります。インクルージョンの入り方は、産地によってちがいます。とくに、木や草が植えられた美しい庭のように見えるときは、「ジャルダン」(フランス語で「庭」という意味の言葉)と呼ばれています。
小さなすき間やキズは、むかしからオイルや樹脂を含ませることで目立たなくする処理が行われてきました。なかには、年月を経るとオイルや樹脂の部分が色あせたり、キズが目立ってきたりするものがあります。
※…インクルージョンとは、宝石の結晶のなかに含まれるほかの鉱物や空洞、小さなひびなどです。
コロンビア産エメラルドの原石。金属のように光っているのは「パイライト」という鉱物。エメラルドを黒っぽくしてしまう鉄は、パイライトに集まるので、エメラルドは美しい緑色になります。
中心から6方向に、放射状のすじ模様があるエメラルドです。トラピチェとは、スペイン語で「サトウキビをしぼる機械についた歯車」のこと。ルビーやサファイアでも見つかっていますが、たいへんめずらしい結晶です。
●後編は、代表的な産地別エメラルドの特徴についてお届けします。6/30配信予定です。どうぞお楽しみに。
この記事は、『宝石のひみつ図鑑』(世界文化社)の一部を抜粋・再構成しました。