『捜査当局が「ずさんな実験」、自社実験72回…輸出規制機械巡り「無実」証明』へのユーザーの意見まとめ 2021-12-11 「生物兵器転用可」で社長332日拘束…「捜査検証を」 精密機械製造会社の社長らが、輸出規制に含まれる機械を無許可で外国に持ち出した容疑で逮捕・勾留され、一転して起訴が取り消された事件は、同社が実施した実証実験で機械が規制対象外だと主張し、「無罪」を勝ち取った。東京地裁も身柄拘束期間に応じた刑事補償の支払いを認めた決定の中で、「無罪判決を受けるべき十分な理由がある」と言及。332日間勾留された社長は「捜査の検証がなされるべきだ」と訴えている。(福益博子)「問題なかったのに」問題とされた同種の「スプレードライヤー」(11月12日、横浜市都筑区で)=大石健登撮影 「ほっとした。これでようやく誤解が解ける」。精密機械製造会社「大川原化工機」(横浜市)の大川原正明社長(72)は11日、自身を含めて逮捕・勾留された3人に計1130万円の刑事補償を認めた7日の地裁決定について、胸中をそう明かした。 問題となったのは、液体を粉末に加工する機械「スプレードライヤー」だ。機械の内部に液体を霧状にまき、備え付けられたヒーターで乾かして、粉末に加工。インスタントコーヒーや粉ミルクなどの製造に広く使われる。同社は1980年代から製品開発し、アジアなどに輸出してきた。 警視庁の捜査を初めて受けたのは2018年10月。約1年半の間、社員ら約50人がのべ264回、任意で事情を聞かれた。大川原社長ら3人は昨年3~6月、「生物兵器の製造に転用可能な精密機械を無許可で輸出した」とする外為法違反などの容疑で逮捕・起訴された。 任意段階では全面的に捜査に協力した大川原社長。逮捕から今年2月に保釈されるまでは黙秘を貫いた。「何も問題がなかったはずなのに。無力感を覚えた」。大川原社長は当時の心境をそう振り返った。「殺菌」曖昧な基準(写真:読売新聞) 13年の経済産業省令は、スプレードライヤーのうち、機械の内部で殺菌できる機能を持つ製品について、新たに輸出規制の対象とした。機械で有毒な菌の粉末を製造した後、残った菌を内部で殺すことができれば、感染せずに繰り返し使用できるため、バイオテロなどに使われる恐れがある――という論理だ。前へ12次へ1/2ページ