「想像上ではなくリアルな中国を紹介したい」中国の独立出版社や編集者が語る、個人出版の楽しみ

「朝日新聞GLOBE +」の2019年の取材記事(*1)によると、統計と実態が合致していない部分はあるものの、中国の書店数は政府の統計で16万店台とのこと(日本の書店数は2020年5月1日時点で1万1,024店だという *2)。
中国で書店が増えている背景には多様な要因がある。中国政府が書店の開設を支援していること、知識欲が強い若い世代や教育熱心な親の存在などだ。前者でいえば、中国政府は「全民閲読(国民読書)」運動を提唱しており、その一環として書店開設時に財政面で補助するなどの施策を行なっている。「国民読書」運動を浸透させるには、書店の存在は欠かせないということのようだ。
さらに、最近は新しい動きがある。デジタルネイティブの若い世代には紙の本がかえって新しいのか、また、所有欲をかきたてるのか、ここ数年、中国各地で書店のみならず、アートブックフェアが増えているのだ。北京、上海、広州といった大都市だけでなく、寧波、武漢、長沙、深セン、南昌(なんしょう)、杭州などの地方都市でも、インディペンデントの小さな出版社やセルフパブリッシングのつくり手が出店するイベントが開催されているようだ。
「なぜ、いま、中国各地でアートブックフェアが増えているのだろう?」「中国にはどんなセルフパブリッシングの本がある?」「そもそも、若い人は本を読むのか?」など、色々知りたいと思った。
今回、中国各地のアートブックフェアへの出店経験があり、セルフパブリッシングのムック『水象(Be Water Journal)』を発行している発行人兼編集者の愛米(アイミー)と、中国のアートブックフェア『Spring Art Book Party』の主催者であり、2009年にアート系のインティペンデント出版社「假雑誌(Jiazazhi)」を設立した言由(イエン・ヨウ)に話を聞いた。