壁画から、あふれる未来への希望 横浜駅周辺に鮮やかアート

埼玉県の大宮駅から横浜駅までのJR沿線に壁画を描き、地域活性化を目指すアートプロジェクト「ミューラルワンライン」の一環。JR東日本のグループ会社「JR東日本スタートアップ」(東京都港区)とアート制作会社「ウォールシェア」(大阪市)が連携して実施した。
参加したアーティストは8人。「子どもから大人まで心穏やかに落ち着けて未来に希望を持てるアート」を共通テーマに、それぞれが思い思いの壁画を描いた。壁画は計8カ所あり、県内では横浜駅周辺の「第一高島架道橋」の2カ所と「第二高島架道橋」の計3カ所。2月下旬に制作が始まり、8日に完成した。
子ども2人が口に手を添えて声を掛け合う様子をスプレーで描いたPHIL(フィル)さんは「コロナ禍で未来が見えない中、声を掛け合い頑張っていこうという思いを込めた」と話す。imaone(イマワン)さんは、不安を抱えている人を指の「OK」サインで肯定する架空の「君、いいね先生」を描いた。
壁画制作では、多くのアーティストが街の雰囲気に沿ったデザインにするという。KOMESENNIN9さんは、「困難に打ち勝つ」という花言葉を持つサザンカをモチーフにした絵を描いた。サザンカは横浜市が「市民の木」の一つに定めており、彩色には横浜のシンボルカラーである青をふんだんに使った。
壁画を街づくりに活用するケースは海外でみられるものの、日本ではまだ浸透していない。それでも、制作時に「楽しみにしている」と声をかけたり、足を止めて見入ったりする人がいたという。ウォールシェアの最高経営責任者(CEO)、川添孝信さん(31)は「街中にある気軽なアートを楽しんでほしい。見た人がそれぞれの解釈で楽しんで感じてもらえれば」と話している。