五輪スケートボード金メダリスト・堀米雄斗のファッションとスニーカー、ビデオパートへのこだわり

ミュージシャンが演奏を録音してアルバムに残すように、スケートボーダーはストリートでの滑りを映像に残す。これは彼らの間で脈々と受け継がれてきたカルチャーである。何カ月も、ときに何年も掛かって最高のメイク(技)の瞬間を切り取る。その映像を編集してつなぎ合わせたわずか5分ほどの映像は、「ビデオパート」と呼ばれる彼らの宝物だ。そこで示された姿こそが、その人の“スタイル”。「スタイルをつくりたい」と望む雄斗はいま、毎日のように映像クルーたちと街に出て撮り続けている。
「映像でトリックを残すことで、自分のスタイルを確認できます。ストリートの映像がないとファンがつきにくいし、スポンサーもつきにくいです。スケボーはカッコいいのが当たり前な世界。憧れのスケーターたちが映像を残してきたから、自分もそれをやっています。ストリートでカッコいい映像を残したスケーターが大会で勝つと、よりカッコよく見えてくるもの。その突き抜けたスタイルに憧れて育ってきたので、僕自身も大会とストリートの両方をやるようになりました」
映像の撮り方にも、スケートボードカルチャーの流儀がある。
「フィルマー(撮影者)に任せっきりにせず、このアングルで撮ってほしいとか、もう少しズームして撮ってほしいとかは言いますね。一つひとつのこだわりが映像に出てくるので、そこがスケボーの楽しいところでもあって。子どもの頃はプロスケーターのシェーン・オニール(※2020東京オリンピック競技大会・オーストラリア代表選手)にすごく憧れていて、シェーンが使っていた日本の古いカメラ『VX1000』で自分の映像を撮ったこともあります。ぜひ多くの人に僕のビデオパートを見てほしいですね。スケートカルチャーの裏側も、大会とはまったく違う自分もここで見られます。新作は、コケてるシーンから映像がはじまりますよ(笑)」