【今週見るべきアート展】修復されたフェルメール絵画、上野リチの仕事、ズレが生む視覚の世界 2022-01-18 ヨハネス・フェルメールの初期の傑作《窓辺で手紙を読む女》には特別なエピソードがある。じつはこの作品、1979年、X線調査によって背景の壁面部分の下に「キューピットの画中画」が描かれていることが判明。ただ作家自身が制作の過程で塗りつぶしたものだと考えられ、上の写真のように画中画は隠れた状態のまま公開されてきた。しかし、2017年、事のありさまは一転する。使われている画材を分析したところ、キューピットの姿が上塗りされたのは、作家の死後、つまりフェルメール以外の誰かによって消されたことが明らかになったのである。絵画は、画家が完成させた状態で保存するのが通例。こうしてこの絵の修復プロジェクトが始まったのであった。