南房総の民話、アニメに 「竜王の子の約束」海と気候の関わりに学び

日本財団は海にまつわる民話を子どもたちに語り継ぐ「海ノ民話のまちプロジェクト」を2018年にスタートさせ、日本各地の民話のアニメ化に取り組んでいる。神奈川県藤沢市の江ノ島に伝わる「五頭龍と弁天様」など、21年度までに27話のアニメ化が実現。22年度は新たに15話で進めることになり、その一つに「竜王の子の約束」が選定された。
「竜王の子の約束」は、漁師が仕掛けた網にかかった竜王の子が、命を助けてもらったお返しに、海底から時化(しけ)の予告をするようになり、漁師たちは安全に漁を続けられるようになったというストーリー。南房総市富浦地区の沿岸部の人たちの間で伝承されてきた。プロデューサーを務める柴田英知さんは、アニメの題材に選んだ理由を「海と気候との関わりや、海の底に住む生物と人間たちとの関わり方が学びとして内包されている」と説明する。
テレビ東京で放送されたアニメ「ふるさと再生日本の昔ばなし」の制作スタッフらが5分程度の作品にまとめる予定で、年内の完成を目指している。完成後は地元の子どもたちを対象とした上映会を開き、動画投稿サイト「ユーチューブ」にも配信するつもりだ。
プロジェクト事務局は、アニメのイラストと地元の特産品などを組み合わせたコラボ商品の発売などにも期待を寄せている。「地域でアニメを活用し、海の民話の町として盛り上がっていただきたい」と話している。