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竜王戦第3局・明暗分けた形勢判断…先入観がない藤井聡太竜王の強さ、常識にとらわれた広瀬章人八段は痛恨の敗戦
2022-11-04
竜王戦第3局・明暗分けた形勢判断…先入観がない藤井聡太竜王の強さ、常識にとらわれた広瀬章人八段は痛恨の敗戦

 藤井聡太竜王が終盤に逆転し、シリーズ2勝目を挙げた第35期竜王戦七番勝負第3局。対局翌日、広瀬章人八段の表情に疲れの色はあったが、「いい将棋だったのに、やっちゃいました」と穏やかに語り、「鷹揚(おうよう)流」は気持ちを切り替えていた。対して、新幹線を待つ藤井竜王の表情は生気に満ちていた。記者と立ち話で第3局を振り返り、ある局面について「手応えを感じました」と明かした。関東の若手実力者である八代弥七段、青嶋未来六段、そして広瀬八段も常識にとらわれた状況で、藤井竜王はただ一人、正確な形勢判断をしていた。(読売新聞オンライン部・吉田祐也)


 第3局の舞台は竜王戦初開催となる静岡県富士宮市。先手番の広瀬八段が相掛かりの戦型に誘導し、初日に新構想の仕掛けを敢行した後は、手厚く指してリードを奪った。藤井竜王は「駒組みがよくなかった」と局後は反省しきりだった。午前は日が差して富士山をはっきり望むことができた対局2日目も、広瀬八段は丁寧な指し回しを続けて優位を保った。藤井竜王は「広瀬八段は終盤の切れ味が鋭いです」と七番勝負前に評していた。終盤で広瀬八段は棋風通り、攻め合いで勝つ順を選んだ。
 ▲8二角(第1図)と飛車銀両取りをかけた広瀬八段。大盤解説会場の青嶋六段は「広瀬八段は、前を向いて勝ちにいきました」と説明した手だ。ここから藤井竜王は冷静に△7五飛と大駒を切った。
 派手な手に見えるが、両取りを切り返す唯一の手段で、これは両対局者が織り込み済みの順だった。実戦は▲7五同銀△同角▲6六歩(第2図)と進行した。
 冒頭の「ある局面」というのは、▲6六歩と先手が打った局面のことだ。この第2図での形勢判断が勝敗を分けた。歩を急所に活用した▲6六歩は、いかにも「筋」の一手でプロ好みだ。後手の角の利きを遮断し、△同角と取れば、先手は6四の銀を取ることができる。八代七段、青嶋六段は「▲6六歩は感触がいい手」と評していた。そして、広瀬八段も「▲6六歩は効率がいい手なので、何か勝ちへの手段はありそう」と踏んでいた。ところが……。
 常に謙虚で自身の将棋に厳しい藤井竜王が第2図の局面を迎え「手応えがありました」と語ったのだ。この一言をフラットな目線で変換すると「後手がはっきり優勢」という意味合いになる。本局を検討していた控室でも、対局者の広瀬八段も「まだまだ難しい」と判断していた局面で、自身の形勢が格段に良くなっていることを冷静に判定していた藤井竜王。いかにも玄人好みの▲6六歩を食らったものの、「痛くない」と落ち着いて判断していたのは、そこから3手先の局面が「寄せ」につながっていると認識していたからだ。

ソース元URL:https://news.yahoo.co.jp/articles/7d9510f71c25b542864f0eba56555d2a435afd50

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