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オバケだから言えること。塚本麻莉評「原田裕規個展 Shadowing」
2022-12-12
オバケだから言えること。塚本麻莉評「原田裕規個展 Shadowing」

オバケだから言えること



 山口に生まれ広島で育った原田裕規は、2019年に訪れたハワイのビーチで、彼にとって馴染み深い日本のローカルな地名が刻まれた墓石が砂に埋もれている様を見て衝撃を受けたという。2022年8月から9月にかけて、広島のアートスペース「THE
POOL」で開かれた個展「Shadowing」は、そのときの衝撃を経て原田が継続的に続けてきたハワイにまつわる歴史的・地政学的なリサーチが結実したものだ。ちなみに、この展覧会の出品作は個展と同名の作品1点のみである。ゆえに本稿は、必然的にその作品のレビューとなることを断っておく。


 個展会場の中央には、縦長の仮設壁がスクリーンとして据えられていた。そこに映し出されるのは白髪の男性のバストショットだ。顔に刻まれた皺の様子から推察するに、年の頃は60代あたりだろうか。彼の顔貌はまるでトーマス・ルフの写真のように拡大されており、濃い陰影に彩られた鼻梁が強い存在感を放つ。


 暗いグレーの背景とは裏腹に、風の音と鳥の囀(さえず)りがかすかに聞こえるなか、彼は言葉を紡ぐ。だが、その動きには拭い難い違和感を覚える。表情筋はぬるぬると動き、発声する口元も奇妙にぼやけている。投影されているのが実写ではなく、なんらかのデジタル技術に基づく映像であることは明らかだ。また、その声はダブっている。同じ声が二重に聞こえるのではない。ふたりの人物による異なる声が、同じフレーズを朗読しているのだ。


 《Shadowing》は原田が実際に対面取材した、ハワイ出身・在住の日系アメリカ人男性の外見をモデルに生成された「デジタルヒューマン」が登場する映像作品である。映像自体は16分程度と短く、画面ではデジタルヒューマンがいくつかのエピソードを語る以上の出来事は起きないが、作品の構造はおそろしく入り組んでいる。


 先述のとおり、本作ではスクリーンに映るひとりの人物像に対して2名の声が聞こえてくる。声の内訳は作者の原田と、ハワイ出身・在住の日系人の男性だ(*1)。ところが原田と日系人は、同じ文章を同時に読み上げているわけでも、声優のように映像に声をあてているわけでもない。実態に即して言うと、原田が日系人の声をシャドーイング(復唱)して終始追いかけているのだ。デジタルヒューマンの表情は、声を発する原田の顔の動きに同期されている。つまり、スクリーンに映る男性の表情は原田のそれと紐づいており、彼は作者が「化けた」アバター的存在とみることもできる。


 スクリーンと対峙する鑑賞者は、デジタルヒューマンの奇妙にリアルな姿と、彼(ら)が語るエピソードを耳と目で追うのに注力することになる。あえて「目で」と書いたのは、語りがすべて「ピジン英語」によってなされ、かつ映像全編にピジン英語と日本語の字幕が付されているためだ。


 ひとつずつ解きほぐしていこう。「ピジン」とは2つの異なる言語が接触した結果に生まれた混成語を指す。本作におけるピジン英語は、19世紀後半から20世紀初頭にかけてハワイに渡った移民やその子孫が発展させたもので、英語をベースにしながらも、日本やポルトガル、フィリピンといった移民の母国に由来する単語や文法が混合している。さらに、広島や山口といったハワイ移民を多く送り出した土地の方言も混ざっているという。だからだろう、日本語字幕でも山口や広島の方言である「じゃろ」という語尾が表れる。このように本作では字幕自体が大きな意味を持つ。


 では、ピジン英語を用いて彼(ら)は何を語っているのだろうか。語りの骨子をなすのは、河童やのっぺらぼうといった日本の妖怪が20世紀のハワイで目撃されたという怪談話である。それらのエピソードは、ハワイで活躍した作家・歴史家のグレン・グラント(1947–2003)が日系アメリカ人から聞き取った「オバケ・ストーリー」をもとに原田が翻案したものだ。ただし本作における語りは、まるですべての出来事を実際に見てきたかのような視点から紡がれる点に特徴がある。一例を挙げてみよう。
Plenty Japanese wen move to Hawaii during dat time to work, and so did da
Kappa.
In da late 1940s, is da first time you wen hear about kappa in Hawaii. You
stay curious now? Well I’ll tell you.

明治時代にたくさんの日本人がハワイに移り住んだ。そのときに どうやら河童も一緒にハワイに来たみたいなんだ。
ハワイの河童は 1940年代末にその姿を現すことになった。どんな話か気になるだろ? これから話してやるよ。

(原田裕規《Shadowing》(2022)の字幕より抜粋)
 この物語が率直に言って面白い。鑑賞者は語りに引き込まれたが最後、二重の声にもかかわらず、デジタルヒューマンをひとりの語り手として認識するようになる。


 語りはハワイの怪談話にとどまらない。オバケ・ストーリーの合間には、古代ローマの学者・大プリニウスによる、人間の影の輪郭をなぞったことが絵画の起源だという有名な逸話が挿入される。なるほど、これも「影をなぞる」という意味において、広義のシャドーイングということだろう。ところがこうした逸話が呼び水となって、本筋のオバケ・ストーリーはところどころで強制的に脱臼させられる。これによって起こるのは、語り手──デジタルヒューマンの主格の撹乱だ。プリニウスの逸話は、あまりに突然挿入されるがゆえに、語り手の「設定」が崩れたかのような印象を鑑賞者にもたらす。しかし彼は話をやめず、はてには口笛すら吹いてみせる。やがて画面は暗転し、映像は終わりを迎える。


 本作を考えるにあたりまず確認すべきは、デジタルヒューマンを動かした技術とそれがもたらした効果だろう。原田によると、《Shadowing》で用いたフェイストラッキングは、表情など小さい範囲の繊細な動きを捉えることを可能にする技術で、ダンスなど身体の大ぶりな動きを3DCGと同期させるボディトラッキングとは異なり、高額なスタジオ設備は必要ないそうだ。事実、本作におけるトラッキングは、無料のスマートフォンアプリの利用で事足りたという。スクリーンが縦長なのも、おそらくその辺りの事情によっている。


 同時に、原田はスマートフォンアプリでのトラッキングが、技術的には未完成であることを逆手に取った。仮にこのデジタルヒューマンが滑らかに動き、一切の違和感を感じさせない挙動を示したとしたら、《Shadowing》はまったく異なる印象の作品となっただろう。技術が未完成だからこそ表れる違和感は、スクリーンの男性がフィクショナルな存在であることを鑑賞者に印象付ける。言い換えると、本作はフィクションであることを前景化して成立している。


 原田は表情の動きを追いかけるフェイストラッキングすらも現代におけるシャドーイングとみなすなど、この言葉を拡大解釈することで作品構造に奥行をもたらしている(*2)。ただし、本作におけるもっともわかりやすいシャドーイングの例は、日系アメリカ人の声を原田が復唱している点だ。しかしこれはかなり回りくどい手法と言える。なぜなら、そもそもグラントのテキストを翻案してスクリプトを書き、ピジン英語版まで用意したのは作者の原田その人である。にもかかわらず、原田は自ら用意したスクリプトを日系人に読ませ、さらにデジタルヒューマンに「化けた」うえでその言葉をシャドーイングしているのだ。


 こうした一連の作業には、ハワイ移民や日系人という「当事者」に対する、原田という「非当事者」の最大限の配慮をみることができる。原田は先行する日系人──移民たちの子孫──の語りを影のように追う(シャドーイング)という極めて遠回りなやり方によって、他者の物語を語り、作品化することを自らに赦したのではないだろうか。さらに、デジタルヒューマンという架空の存在を前景化させることで、本作があくまでフィクションであることを強調し、実在の人物からは距離をとった。それはひとえに、他者の物語を収奪することを是としないが、その物語を作家として伝えたいという意志に支えられてのことに思われる。


 また、作品鑑賞を通して筆者が気になったのが、語りとともに聞こえる風の音や鳥の囀りといった背景音である。デジタルヒューマンの背景は暗く、視覚的には特定の場所を想起させる要素はない。この音はどこからきているのだろうか。原田に尋ねたところ、本稿の冒頭で触れた、ハワイのビーチにある移民の墓地で収録した環境音だとの回答があった。それを手がかりに考えるならば、デジタルヒューマンが「いる」のはこの墓地だろう。では、原田の声を通してオバケ・ストーリーやプリニウスの逸話を語る、墓地にいる「彼」は、架空の移民のオバケという幾重にもフィクショナルなイメージを具現化した存在、とでも言えるだろうか。


 さて、ここまでの見解と矛盾するようだが、じつは《Shadowing》は、ハワイ移民と日系アメリカ人の境遇に仮託した、原田の自己言及的作品とみることも可能だ。スクリプトをつくり、読んでいるのは、つまるところ原田なのだから。例えば映像のラストにおける次のフレーズは、この考えにある程度の説得力を与える。
I stey me and only can be me. No matta wea I go. I always come back like one
boat wit a stuck rudder. I’m always “me.”

私はいつ どこにいても私であり 私でしかない。うんと遠くに行こうと出航しても 舵の曲ったボートみたいに同じところに戻ってしまう。その場所が「私」なんだ。

(原田裕規《Shadowing》(2022)の字幕より抜粋)


 移民たちは見知らぬ異国に根を下ろし、その地で生きることを選んだ。しかし、ピジン英語に顕著なように、たとえ言葉が変わっても残るものはある。本作では遠回りに遠回りを重ねて、物語は「わたし」、すなわち作者の原田へと収斂されていく。それは決してハワイ移民──他者の歴史を強引に自らに引き寄せたからではなく、自らが当事者ではないという自覚から、調べ、学び、寄り添った末に、どうにも変われない「わたし」という共通項を彼らと自らとの間に見出した結果ではないか。

 会場を後にするときにふと振り返った。縦長のスクリーンは、墓石のようにも見えた。

*1── 原田に確認したところ、《Shadowing》の声の主である日系アメリカ人は、デジタルヒューマンのモデルとは別の人物らしい。
*2── 会場に置かれていた作品解説より。

ソース元URL:https://news.yahoo.co.jp/articles/1d0c319fe0149d09e130ad923a985fbf80deec33

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