束芋の映像とヌーヴォーシルクが”干渉”する舞台。

コロナ禍のため二人のクリエイションは長期にわたるリモートでのセッションで進められ、2021年にフランスと富山で滞在制作が行われた。公演は4月に最終調整がされる富山からスタート、東京・山口・沖縄へと巡回する。
束芋はヨルグのパフォーマンスについて次のように言う。
「ヨルグさんのジャグリングでは魔法のようにオブジェに命が吹き込まれて、ひとりでに動き出す。それは常に危険と隣り合わせで、背後には緻密に切り詰められた仕組みが構築されています」
ヨルグ・ミュラーにとって今回の公演は数少ない美術とのコラボレーションになる。
「美術館で通常展示されているものとサーカスでは、鑑賞者にとっても時間軸の違いがあります。この作品でも空間芸術であるサーカスと時間芸術であるアニメーションとの間で、両者が有機的に絡み合う軸を見つけようとしました」(ヨルグ・ミュラー)
束芋は「ヨルグさんの身体と自分の映像をあえて融合させずに、干渉させてみたい」ともいう。まったく異なるバックグラウンドを持つ二人が作り上げてきたものがいったいどんなものになるのか、その空間に立ち会うのが楽しみだ。